CorelDRAW X3 オフィシャルガイドブック発売2006/09/12 13:03

CorelDRAW X3 解説書拙著CorelDRAW X3オフィシャルガイドブック 基礎テクニック編」が、本日発売になりました。表紙には(厚かましく)カメレオンのカルロス君が陣取っていますが、これは私の趣味ではありません。私の趣味は、山椒魚です。オフィシャルガイドなので、このような装丁になったまでです。

幻の表紙ほんとうは、カメレオンでも山椒魚でもなく、私は猫の表紙にしたかったのですが、却下されました。そんな無念の残る本ですが、中身の解説の方は、もちろん自信作です。

本書の特徴は、CorelDRAWの基本操作と、ベジェ曲線操作の習得に重点を置いていることです。特にベジェ曲線操作に関しては、詳細な手順と具体的な課題を提示して、「PART-5 イラストの作成」で解説しています。

「5.1. 基本図形からイラストを描く」では、

  1. 文書を新規作成
  2. トレース用画像(猫の写真)の読み込み
  3. レイヤの使用
  4. 基本オブジェクト(楕円形)で構図を作成
  5. オブジェクトの合成(ウェルド)
  6. 合成したオブジェクトのパス編集で猫の輪郭を作成
  7. 猫の模様を基本オブジェクトで合成(インターセクション)、パス編集
  8. 特殊効果(ドロップシャドウ、等高線、エンボス)の試用
  9. 印刷

という手順を通して簡単な猫のイラストを描き、ベジェ曲線の編集方法に慣れることができるようにしています。また、その合間には、いくつかのオブジェクト操作に関する基本テクニックを、忍ばせてあります。

「5.2. ベジェ曲線で直接描く」では、

  1. ベジェツールで直線セグメントを描く
  2. ベジェツールで曲線セグメントを描く
  3. ベジェツールで尖化ノードを切り替えながら曲線セグメントを描く
  4. ベジェツールで対称化/スムーズ化ノードを切り替えながら曲線セグメントを描く
  5. ベジェツールで直線/曲線(尖化/対称化/スムーズ化)が複合したパスを描く
  6. 猫のイラストをベジェツールで描きなおす
  7. 複雑な模様の写真をベジェツールでトレースする

といったステップで、ベジェ曲線の描画を習得できるようにしています。

サンプルファイルのダウンロード

なお、このベジェ曲線操作(「PART-5 イラストの作成」)に必要なサンプルファイルは、以下のサイトからダウンロードできます。

サンプルファイルは、本書の練習目的でのみ、使用できます。また、CorelDRAW形式のファイルは、すべてX3専用です。旧バージョンでは、これらのファイルを開けません。もちろん、サンプルファイルを見ただけでは、何を練習すればよいのかは分かりませんので、本を買ってください。

CorelDRAW X3 解説書 9月22日発売2006/08/16 11:35

いつの間にかコーレル株式会社サイトで、解説書CorelDRAW X3オフィシャルガイド 基礎テクニック編」の発売が告知されていたので、その著者としても、情報を公開しておきましょう。

  • タイトル: CorelDRAW X3オフィシャルガイド 基礎テクニック編
  • 著者: 黒住浩司
  • 出版: カーネルメディア
  • ISBNコード: 4-903420-03-5
  • ページ数: 416ページ(カラー128ページ)
  • 価格: 4,410円(税込)
  • 発売日: 2006年9月22日(予定)

著者に断りなく書名が決まってしまっていることは、はっきり言って不快なのですが、ね。

本書は、CorelDRAW X3の解説書です。PHOTO-PAINT X3Corel CAPTURE X3は、対象としていません。主要には以下の3章で構成されています。

  • PART-3 新機能と改良
  • PART-4 基本操作ガイド
  • PART-5 イラストの作成

新機能と改良

この章では、CorelDRAW X3の新機能と機能拡張を詳解しています。Corel本社もしくはコーレル社のサイトやパンフレット等で紹介されているものよりも、当然、詳しい内容です。

基本的には、Corel社のCorelDRAW Graphics Suite X3 Reviewer's Guide(英語、PDFパンフレット)を基にして、それぞれの機能を確認した上で紹介しています。また、同資料に触れられていなくても、X3英語版を半年近く使い続けている中で確認した機能や、Corel社ニュースグループなどで触れられていたものなども検証し、追加しています。

まあ、当サイトの「CDGS X 新機能/拡張」のうち、CorelDRAWの分をピックアップして、少しだけ詳しくしたような内容です。

基本操作ガイド

この章では、セットアップから始めて、CorelDRAWの起動、インターフェイス、基本図形オブジェクトの作図方法、オブジェクトの編集方法、ファイル操作、そして印刷と、基本的な操作の流れに沿って機能を解説しています。

それぞれの項目について、詳細に解説しているのは当たり前ですが、あらかじめお断りしておくと、CorelDRAWのすべての機能については触れていません。また、PowerTraceのような新機能についても、敢えてピックアップすることはしていません。あくまでも、CorelDRAWを扱う上での、基礎的な操作についてのみ、取り上げています。

イラストの作成

この章では、曲線オブジェクトの編集と作図方法――すなわちベジェ曲線の操作方法について、扱っています

内容は、

  1. 基本図形からイラストを描く
  2. ベジェ曲線で直接描く

の2つに大きく分け、「1」は基本図形を合成した上で、その曲線をベジェ曲線の操作方法で編集するというものです。「2」は、直接ベジェツールで曲線を描く方法を、基本から取り上げています。

ともに、練習用サンプルファイル(本書発売後に当サイトで公開します)を使って学ぶ、「講義」スタイルを取っています。当然、そのほとんどの操作手順も、明記しています。

もともと、この内容は、私が職業訓練で教えている、Adobe Illustratorの基本操作についての講義を、CorelDRAWに差し替えたものです。もちろん、単にIllustratorの“真似”をしているわけではありません。訓練校の講義自体、私がCorelDRAWで得た技術をIllustratorに差し替えたものなので、巡り巡って本来の講義内容になったというわけです。一方で、実際の授業の中で講義の中身を研鑽、向上させてきたので、そうした成果は本書に還元されています。一般的に、ベジェ曲線の操作は難しいとされていますが、なるべくそれを体験的に学習できるように努めたつもりです。

本書の目次を見ると、上記の2項目しかサブタイトルに掲げられていませんが、この部分で88ページを費やしているように、実質的に「基本操作ガイド」とともに本書の中核を成しています。


CorelDRAW関連の解説書は、最近では同じカーネルメディアから「CorelDRAW Essentials 2オフィシャルガイドブック」が刊行されていますが、同書と本書では、その趣は大きく異なっています。本書は、「CorelDRAW Essentials 2オフィシャルガイドブック」のような、作例主体の操作ガイドではありませんので、ご注意ください。また、文章量も格段に多くなっています。もちろん、ほとんどの項目には、CorelDRAW X3で作図した詳細な図解も入れてあるので、ご安心ください。

以上の内容で、本書の約400ページを埋め尽くしてしまったので、インタラクティブツールなどを使った応用的な操作や、テキストレイアウトやカラー分解などのDTP操作、Web画像/ページ作成といった部分には触れていません。基本操作とベジェ曲線操作の習得に、ターゲットを絞ったものになっています。

ページ数が無限であるなら、例えば作例紹介として、プレゼンテーション資料「トラストDEの作成手順(実は、すでに作成済みなのですが...)のようなものを載せたかったのですが、今回は割愛しました。また、先ごろ公開したCorelDRAW X3 新機能ツアー①」Flashエクスポートの探求」も、実は本書の構想に入っていたのですが、収まりきらないのでWeb上で放出した次第です。

実は、さらに以前からの構想として、CorelDRAW全機能のコマンドリファレンスも企画していたのですが、「ファイル」メニューの項目を途中(「送る」コマンド)まで執筆したところ、それだけで3万字を超えてしまいました。全コマンドとツールを網羅しようとすると、一冊の本でも収まるかどうかといった具合なので、やはり今回は断念しました。

私自身の姿勢としては、質の面でいい加減なものや、妥協した内容のものは作る気がないので、今回は、「基礎テクニック」としてまとめられるものを、その内容を減ずることなく掲載しました。特に、「ベジェ曲線で直接描く」は、ほんものの「基礎講座」(それを本書のタイトルにしたかったのですが...)として、役立つ内容になっていると思います。

なお、本書をセットにしたCorelDRAW Graphics Suite X3も発売されます。

これは、CDGS X3通常版との組み合わせです。

とにもかくにも、CorelDRAW 8以来、7年ぶりで本格的な解説書を執筆できたことは、よかったと思います。そして、当時としては何よりも詳しかった拙著「CorelDRAW 8J DESIGN GUIDE」ですが、私のCorelDRAWに対する造詣は、より深くなっています。それが今回の解説書で、読者の方のお役に立つことを願っています。